- 情報収集のために早く出勤してるのに、それでも間に合わない
- 患者さんを把握しようとしたら何時間あっても足りない
- 情報収集が遅いって言われる
基本情報、治療方針、検査結果、検査予定、手術、薬剤投与、薬剤の目的・副作用、リハビリ…
朝の短時間で、患者さんのすべてを理解する情報収集は不可能です。
情報収集は重要な技術ですが、効率的にできている看護師はとても少ないのが現状。
私は新人看護師研修責任者をしていて「情報収集が遅いと言われます」と悩んでいる看護師にアドバイスしています。
今回、新人看護師に教えてきた情報収集のコツをTwitterで紹介したところ、たくさんの共感・反響を頂きました。
情報収集のコツは医師記録をメインにすること。
情報収集は医師記録をメインにするのがオススメ
・疾患や病態がまとめられている
・観察視点(項目)がわかる
・病態に関わる検査項目がわかる
・x-pやCTの所見がわかる
・所見を知ってからx-p・CT見るとわかりやすい
・治療方針がわかる
・指示の根拠を知れる短い時間で情報収集するコツはこれ👌
— ヤマヒロ@新人看護師を支えたい人 (@icumensnurse) May 1, 2022
この記事の内容を実践すれば、情報収集の時間を大幅に減らすことができるはずです。
ぜひ、参考にしてください。
関連記事 新人看護師の辞めたい時期を乗り越える7つの方法|相談するが重要
情報収集が遅い看護師の特徴5つ

情報収集が遅いと悩んでいる人には特徴があります。
情報収集が遅い人の特徴
- 病態を理解するために必要な情報がわからない
- 欲しい情報がどこにあるかわからない
- アセスメントができない
- 情報収集をカルテで完結させようとする
- 情報はすべて把握すべきと思い込んでる
病態を理解するために必要な情報がわからない
新人看護師に多い特徴です。
疾患も治療もわからない新人看護師は、病態を理解するために必要な情報がわかりません。
基礎知識がないため、必要な情報に絞ることができず、無駄な情報も集めてしまいます。

経験の問題なので、自力で解決するには時間がかかります
欲しい情報がどこにあるかわからない
こちらも新人看護師に多い特徴です。
情報収集するためには、見たい情報へアクセスしなくてはいけません。
スマホのように検索できないので、カルテ上でいろんなページを探し回ります。
カルテ慣れすれば解決できますが、それまでは遅くなる原因です。

慣れると、情報収集の流れができて、意識せずにカルテを開けるようになります
普段みない疾患での情報収集には注意が必要です。
普段みない疾患の場合、普段の情報収集以上の情報が必要になる場合があります。
みなれない情報収集は、どこに情報があるのか探す時間がかかります。
アセスメントができない
新人看護師や普段みない疾患などを受け持つときの特徴です。
やっとの思いで情報収集しても、アセスメントには時間がかかります。
既往歴、現病歴、急性期、慢性期、薬剤…
たくさんある情報を整理して病態把握をするので、経験も必要です。
情報収集で一番時間のかかる作業です。
情報収集をカルテで完結させようとする
情報収集はカルテからするものと考えてませんか?
間違っていませんが、私達が看護をするのは人です。
カルテに書いてある情報は、あくまで資料で、看るべき患者は部屋にいます。
カルテからの情報収集にこだわらず、直接患者から情報収集するのも重要です。
フィジカルイグザミネーションやコミュニケーション(問診)でわかる情報は、カルテでは見えない貴重な情報です。
資料にこだわらず、患者に看る基本を忘れないでください。
情報はすべて把握すべきと思い込んでる
情報収集で患者を理解することは重要ですが、すべてではありません。
朝の情報収集で最低限必要なのは、一日の治療・看護が提供できる情報です。
それ以外の情報は働きながらその場で確認しましょう。
働きながら情報収集すれば、医師が指示を変更したり、他職種が更新した情報もタイムリーに確認できます。
朝の情報収集とは異なる情報も入るので、朝にすべて把握するより、より正確な情報収集ができます。
なぜ看護師は情報収集が遅いのか

看護を提供するためには、患者の病態をアセスメントし、状態を把握する必要があります。
情報収集は、患者それぞれの病態を理解するために必要不可欠です。
- 情報収集の目的
- 「患者の状態を多角的に把握すること」
- 「治療経過において、看護介入が必要な問題点を把握すること」
患者の個別性に合わせて、治療方針が決められ、それに合わせた治療(検査、手術、処置、リハビリなど)が実施されます。
円滑な医療提供、疾患や治療の影響による異常の早期発見は、看護師の重要な役割です。
個別性が情報収集を難しくします。
なぜなら、患者一人一人疾患が異なれば、年齢や性別、既往歴など、現病歴や治療に影響を与えるものも変わるからです。
必要な情報をすべて把握してアセスメントするには、それだけ時間が必要になります。
情報収集が遅い看護師が意識するべき、最低限必要な項目

朝の情報収集の目的で重要なのは、以下の3点です。
- 患者を把握(アセスメント)
- 治療方針によって計画された、その日の治療予定の把握
- 疾患・治療への看護・観察
この3点を把握できれば、一日の受け持ちは問題なく行えます。
目的に合わせた必要な情報は、大きく分けて2つ必要です。
- 病態把握に必要な項目
- 治療予定の確認
しかし、すべてを把握しようとすると時間がありません。
この中から、優先順位をつけて情報収集していきます。
患者の病態把握に必要な項目
患者の病態をアセスメントするために必要な項目を整理していきましょう。
病態把握に必要な項目
- 病態
- 現病歴
- 既往歴
- 症状
- 検査結果
- 治療方針
- 薬剤
- 処置
- 手術などの治療
- 検査
- 趣味、趣向
- 家族歴
- 社会的背景 など

病態把握だけでもかなりの情報が必要ですね
これは一部で、他にも治療や退院後の生活を視野に入れた情報も必要です。
さらに、受け持ちをするために、治療予定の確認をしていきます。
患者の治療予定の確認

受け持ち時間帯の治療予定の情報収集をしていきましょう
治療予定の確認
- 薬剤投与
- 検査
- 処置
- 手術などの治療
- リハビリ
- 医師からの病状説明
治療予定は時間指定のあるものが多く、複数人受け持ちをする看護師には重要な要素です。
手術や検査、リハビリ、医師からの病状説明は、看護師以外の職種や他部署が関わるので、時間厳守。
情報収集後は、アセスメントと同時にタイムスケジュールの調整もします。
受け持ちをするために必要な情報の優先順位


情報収集する量は多く、朝の情報収集時間内では終わりません
病態把握に必要な項目、患者の治療予定の確認の中から、優先順位をつけて情報収集していきます。
情報収集の優先順位
- 疾患、病態の把握(重症度の高さに合わせて)
- 治療予定
- 継続の必要な看護、観察項目
- 検査結果の詳細
- その他、病態把握に必要な項目
疾患、病態の把握(重症度の高さに合わせて)
まずは病態を把握していきますが、重要なのは重症度の高さです。
緊急入院後、手術後などは状態変化が起きやすいため、詳細な病態把握が必要です。
一方、数日で退院が決まっている状態安定の患者は、詳細な把握は不要になります。
重症度が高い患者の情報収集は、低い患者に比べとても時間を要するので、重症度の高い患者から情報収集していきましょう。

この情報収集とアセスメントができないから遅いんです
安心してください。医師記録をみるというコツを使えば、すぐに解決します。

治療予定
治療予定の確認は必須です。
他部署、他職種も関わるので、必ず情報をとって、タイムスケジュールを組みましょう。
時間指定されている薬剤が多く、治療に影響を与える可能性も高いので注意してください。

薬剤投与忘れなどは、よくあるインシデントです
継続の必要な看護、観察項目
継続に必要な看護とは、手術後の観察や、状態変化に対する観察・看護のことです。
- 手術後○時間継続
- ドレーン挿入後、廃液確認
- ○時に血圧低下あり経過観察中
- 薬剤投与の副反応確認 など
看護記録から、
継続して観察するものはないか
前勤務帯で変化がないか
など、情報収集しましょう。

先輩のアセスメントも書いてあるので、先輩の考えを学ぶチャンスです!
検査結果の詳細
受け持ちに必要な情報が取れたら、検査結果の詳細を確認していきます。
一日の流れには大きく影響をしないので、朝の情報収集としては優先順位は下位です。
前回との変化はないか、治療の効果は出ているかなど確認します。
異常値へ変化しているのであれば、疾患の影響下、数日以内に治療や新規薬剤投与開始はないかなどアセスメントします。

必要であれば先輩や医師に確認しましょう
その他、病態把握に必要な項目
重症度に合わせた最低限の病態、治療、看護を把握できれば、困ることはありません。
しかし、質の高い看護を提供するためには、最低限の情報では足りないことがあります。
朝の情報収集の優先度は下がりますが、余裕が出たとき確認しましょう。

重症度の低い患者の場合、受け持ち時の情報より退院に向けた情報が重要になります
情報収集は医師記録をメインにするのがオススメ

医師記録をメインに情報収集するのが、情報収集を効率的に早く終わらせるコツです。
情報収集が遅い人の特徴で紹介した5つの問題は、医師記録をメインにすることでほぼ解決します。
医師記録をメインにするのがオス
- 疾患や病態がまとめられている
- 観察視点(項目)がわかる
- 病態に関わる検査項目がわかる
- レントゲンやCTの所見がわかる
- 所見を知ってからx-p・CT見るとわかりやすい
- 治療方針がわかる
- 指示の根拠を知れる
それでは解説していきます。
疾患や病態がまとめられている
医師は病態把握に必要な項目から、患者のアセスメントに必要な情報だけを利用して記録します。
医師記録からわかること
- 入院までの経過
- 入院になった理由
- 病態把握に必要な検査結果
- 検査結果からわかるアセスメント
- 治療方針
- 薬剤選択の理由
- 今後予測されること(病態悪化の症状、治療による影響など)
- 医師記録からわかること
医師記録を見れば、情報収集してアセスメントするまでの過程をすべて把握することができます。
観察視点(項目)がわかる
医師記録にある、今後予測されることは、医師が注意して観察していきたい項目です。
この項目をもとに、患者の観察をすれば、病態と治療に合わせた観察が可能になります。
もちろん、この項目だけでは足りないこともありますが、重要事項は間違いなく把握できます。
医師の観察項目に重点をおいて、フィジカルイグザミネーションや問診をしていけば、質の高い看護が提供できます。
病態に関わる検査項目がわかる
医師はアセスメントに必要な検査項目を抜粋して、医師記録に書いています。
検査は採血、レントゲン、CT、MRI、尿検査、カテーテル検査、エコーなど、たくさんあります。
必要な情報や、その情報の掲載場所がわからないことが、時間のかかる原因と紹介しました。
病態がわからない新人看護師は、すべての情報を確認していくと思いますが、今日からやめましょう。
医師記録を参考にして、その中で重要視されている検査だけ情報収集する。
検査結果の数値をとにかくメモする看護師もいますが、不要です。
メモをみて即答しなくては行けない項目はありません。
必要になったときに改めてカルテを見ればいいんです。
医師記録にある情報だけに絞りましょう。
レントゲンやCTの所見がわかる
レントゲンやCTの所見や診断は医師記録を見れば十分です。
自分で評価する必要はありあせん。
正直、レントゲンやCTをみてもわかりませんよね。
私もわかりません。
というより、分かる必要はありません。
レントゲンやCTは医師が診断するもので、私達のアセスメントにはあまり関係ないからです。
もちろん、どこに痰が溜まってるからドレナージしようとか、聴診するときに意識してみようというのは重要です。
しかし、それ以上の知識は無理につけないで大丈夫。
医師の診断を素直に読ませてもらいましょう。
所見を知ってからレントゲン・CT見るとわかりやすい
医師記録で、レントゲンやCT結果の所見を確認してから見てみましょう。
医師記録に「右無気肺」とあるなら
レントゲンとCTの変化はどうかな?
と確認すれば十分です。
レントゲンをみて判断するより、医師記録の診断をみてレントゲンを見たほうが、間違いなく正しいアセスメントができます。
0から考えることも大切ですが、診断を確認してからレントゲンを見たほうが効率的です。
治療方針がわかる
治療方針がわかると、看護のポイントが見えてきます。
- 肺炎の治療方針
- 抗生剤で治療、酸素化不良のときは酸素開始
とあれば、看護師は

感染に対して抗生剤使用して、Spo2低下時は酸素を使うんだな
酸素化を気にしているから肺の音や呼吸状態に注意してみていこう
とその日の観察や看護の道筋が見えます。
病態に対する検査や治療目的もわかるので、勉強にもなります。
指示の根拠を知れる
治療方針の中に、医師指示の目的も書かれていることが多いので、医師指示の根拠もわかります。
- なぜこの薬を出しているのか
- なぜ安静なのか
- なぜ手術が必要なのか
- なぜリハビリを中止したのか
など
医師の考えを理解した上で、看護していきましょう。
情報収集が遅い人の特徴は医師記録で改善される

情報収集が遅い人の特徴にあげた内容は、医師記録をメインに情報収集すれば問題は解決します。
情報収集が遅い人の特徴と、医師記録で改善できることを当てはめてみましょう
- 病態を理解するために必要な情報がわからない
- 疾患や病態がまとめられている
- 観察視点(項目)がわかる
- どこをみれば欲しい情報が見れるのかわからない
- 病態に関わる検査項目がわかる
- レントゲンやCTの所見がわかる
- 所見を知ってからx-p・CT見るとわかりやすい
- アセスメントができない
- 疾患や病態がまとめられている
- 治療方針がわかる
- 指示の根拠を知れる
- カルテですべて情報収集しようとする
- 直接患者を見に行く
- 情報はすべて把握しないといけないと思い込んでる
- 働きながら情報収集する
いかがでしょう?
医師記録を確認するだけで、新人看護師の苦手とする病態の理解、アセスメント、欲しい情報の3つの問題は解決できます。
あとは、受け持ち時の治療予定と、継続に必要な看護だけ情報収集すれば解決です。
まとめ

朝の情報収集が遅いと言われないための対策は以下の通り
- 医師記録をみて、病態や治療方針、観察項目を確認する
- 受け持ち時の治療予定を確認する
- 継続の必要な看護を確認する
この3点だけ押さえれば朝の情報収集は確実に短縮できます。
朝だけで情報収集しようとせず、働きながら患者とコミュニケーションをとっていく。
フィジカルイグザミネーションで全身観察する。
わからないこと、気になることはその都度情報収集していく。
これさえできれば、余裕をもって働くことができますよ!