ICUはあらゆる医療機器を駆使しながら、循環・呼吸・代謝管理などを主とした全身管理をする環境です。
最先端の治療、あらゆる手段を使って、重症患者さんの回復をサポートします。
人工呼吸器、ECOM(エクモ)をはじめとした機器から、Aライン、CV(中心静脈カテーテル)ラインなどのデバイス、血ガスの評価、検査結果の評価、レントゲンやCTの読影など、一歩踏み込んだアセスメントも求められます。

何を勉強したらいいかわかりません
ICUは勉強する範囲が広く、本も多種多様。
重症患者を看護するために必要な知識は、どうしても医師レベルの内容になってしまいます。
今回、ICU教育担当の私が、ICUに配属された新人看護師、異動・中途入職にオススメして好評だった本をランキング形式で紹介していきます。
ランキングは、『わかりやすさ』『実用性(いつでもどこでも使える)』『基礎がわかる』を重視しています。
下位にあるものはオススメしないのではなく、下位にあるほどステップアップしていくために必要なレベルの本です。
- ランキングの見方
- 上位はICU初級者
- 下位はICU中級者以上
とにかくわかりやすい本、基礎知識から学びたい人は、上位を購入してください。
では早速やっていきましょう!
参考 新人看護師の辞めたい時期を乗り越える7つの方法|相談するが重要
ICUで学ぶために必要な本一覧

ICUの学習は、一冊を買えば全てわかるわけではありません。
ICUに必要な知識はたくさんりますが、今回は最低限必要な本を紹介します。
ICUで学ぶために必要な本
ICU全体編
ICUナースポケットブック
ICU3年目ナースノート
ICU実践ハンドブック
呼吸器編
すごく役立つ 急性期の呼吸管理
はじめてでも使いこなせる人工呼吸器デビュー
人工呼吸ケアのすべてがわかる本
心電図編
オールカラーまるごと図解 心電図のみかた
これならわかる心電図の読み方モニターから12誘導まで
持ち歩きたい人 パッと引けてしっかり使えるモニター心電図の読み方
番外編
ICUグリーンノート
雑誌:IUNR
オススメの著者:道又元裕さん
ICU領域の本で悩んだら道又さんの本を選んでおけば間違いなし。
道又さんの本は、ICUで働く先輩看護師・集中ケア認定看護師、急性・重症患者看護専門看護師も一押しでした。
道又元裕さんは杏林大学医学部附属病院の看護部長を経て、現在はCCRI(急性期医療に係る教育・研究の推進及び普及を目的とした法人)の代表理事をされています。
道又元裕さんの本の特徴
道又さん監修の本は、イラスト・図解・表を駆使して、とにかくわかりやすく解説されているのが特徴です。
CCRI(急性期医療に係る教育・研究の推進及び普及を目的とした法人)を立ち上げるほど教育に情熱を注ぐ方なので、書籍からもその情熱が伝わってきます。

簡単な言葉で、それでいて深いところまで解説されてるんですよ
と、道又元裕さん超オススメの話はここまでにして、本の紹介をしていきます!
とりあえずICUに配属されたから買っておきたい1冊


ICUで役に立つわかりやすい本をおしえてください!
そんな人にオススメするのはICUナースポケットブックです。
ICU教育担当者として全力でオススメします。
後ほど詳しく解説しますが、これさえあれば
- ICU配属1日目から必ず役に立つ
- 始業前準備〜ICUにおける基本ケアがわかる
- ICUで関わる疾患の看護のポイントがすぐにわかる
- ICUで使う医療機器の管理のポイントがすぐにわかる
- 処置のポイント、注意点がすぐにわかる
- 処置の物品や介助のコツなどメモする欄が豊富
- 自分のマニュアルが作れる
オススメし始めらたきりがありません。
迷うならこの一冊買っておきましょう!
あとは、必要だなって感じてから購入しても大丈夫です。
ICU看護師にオススメのわかりやすい本:ICU全体編

ICU全体編
ICUナースポケットブック
ICU3年目ナースノート
ICU実践ハンドブック

本が欲しいけど、お金もかかるし、本当に必要かわからなくて困ってます
まずはICUに必要な知識が網羅的に書かれている本を準備しましょう!

ICUで学ぶべき知識はたくさんあり、各分野ごとに専門書は出ていますが、初めから専門書ばかりを買う必要はありません。
ここで紹介するのは、ICUで働くために必要な知識が一通り乗っている本です。
ICUナースブック | 仕事に必要なことをすぐに調べて実践するマニュアル本 |
ICU3年目ナースノート | 初めてICUに関わり基礎をやさしく学びたい人向けの本 |
ICU実践ハンドブック | ICUに係ることを調べる辞書的な役割の本 |
解説していきます。
ICUナースポケットブック

いつでもみれて、要点がまとまっているものがほしい!
という方におすすめはICUナースポケットブックです。
ICUに関わるものを網羅的に書かれています。
これ一冊で
- 始業時点検から報告
- コミュニケーション
- 各種デバイスや処置
- クリティカル領域の主な疾患
までわかります。
仕事に行ったら、経験のない疾患や処置を受け持つことありますよね?

始業前の忙しい時間に調べてられないよ
ICUナースポケットブックがあれば大丈夫です。
ナースポケットブックに掲載されている内容は
- 疾患
- 『ケアのポイント』がまとめられている
- 医療機器
- インシデント事例も載っている
- 処置
- 観察のポイント、起こりうるトラブル、トラブル時の対応まで載っています
です。
これだけ押さえておけば、とりあえずは患者対応できます。
深いことは帰ってから自己学習しましょう。
さらにメモ欄が設けられているので、病院のローカルルールやコツなどを書き加えることができます。
自分だけのマニュアル本に育てることができるので、ICU入職当日から持って行くことをオススメします。
ICU3年目ナースノート

ICU3年目ナースノートは、杏林大学医学部附属病院のICUで働く若手スタッフの看護師が自ら作成したものを、編集・出版されたものです。
総監修は先に紹介した道又元裕さん。
監修・解説は、集中ケア認定看護師の露木菜緒さんです。
この本はカラーで図解や表、イラストも多いことが特徴です。
すでに図解や表でまとめてあるので、文を読まなくても、ポイントを抑えることができます。
自分でまとめる必要がなく、さらに追加したい情報があれば、この本に直接書き込んでしまいましょう。
ノートをまとめる手間が省けば、勉強のハードルが下がってモチベーションが維持できます。
カラーで文字も大きいため、小さい字を読んでいると眠くなる人にもオススメです。
ICU実践ハンドブック

ICUで調べることのほとんどがこの一冊に詰め込まれています。
ICU実践ハンドブックは、辞書的な役割で利用できるので、勉強するときに「これってどうゆう事かな?」と気になったら調べるときに向いています。
内容は他の2冊と比べると専門的です。
図や表も用いられてわかりやすく書いてありますが、辞書のように文字は細かく、この一冊をずっと読んでいると疲れてしまいます。
この一冊で勉強しよう!と考えず、勉強するのにわからないことが出たら調べたい!という使い方をしてください。
それでも、ICUで働くなら持っておくべき一冊です。
なぜなら、ICUで働いていると「なんでこうなってるの?」と疑問に思うことが多かったり、「これってどうなってるかわかる?」と先輩から課題が出されることが多いからです。
私は、
輸液の種類で血管に残る割合が違うのわかってる!?
鎮静の評価の仕方わかってる?
輸液の目的調べてきて
などの課題を出され、この本に助けてもらいました。
ICUで出される課題は一通りクリアできます。
安心のために購入してください。
ICU看護師にオススメのわかりやすい本:人工呼吸器編

ICU患者の多くは、呼吸状態に問題を抱えています。
ICU看護師が必ず勉強する必要がある呼吸器のわかりやすい本をご紹介します。
呼吸器系のオススメは
呼吸器編
すごく役立つ 急性期の呼吸管理
はじめてでも使いこなせる人工呼吸器デビュー
人工呼吸ケアのすべてがわかる本
の3冊です。
すごく役立つ 急性期の呼吸管理 | 人工呼吸器以前の呼吸管理の基礎から学べる本 |
はじめてでも使いこなせる人工呼吸器デビュー | 人工呼吸器を初めて学ぶ人向けの本 |
人工呼吸ケアのすべてがわかる本 | 人工呼吸器をしっかり管理できるようになりたい人向けの本 |
急性期のすごく役立つ 急性期の呼吸管理

呼吸器と聞くと、人工呼吸器を想像すると思いますが、慌てないでください。
呼吸状態が悪くなったから、人工呼吸器を使用しています。
重要なのはまず呼吸を理解することです。
- 肺の解剖
- 肺の役割
- 呼吸とは
- 酸素療法とは
など、呼吸管理を学び、その先にある急性期の呼吸管理、人工呼吸器管理にステップアップして行く必要があります。

そうか、そもそも呼吸が何かをわかってないかも
すごく役立つ 急性期の呼吸管理は、呼吸器管理全般を基礎から抑えてくれる本です。
著者は大好き道又元裕さん。
この本は、より初級者向けに作成されています。
こんな人にオススメ
- 呼吸管理の勉強を始めたい
- 勉強が苦手だから、わかりやすくて読みやすい本がほしい
はじめてでも使いこなせる・すぐ動ける 人工呼吸器デビュー

こちらは『すごく役立つ 急性期の呼吸管理』では掘り込まれていない、人工呼吸器に重点を置いた本です。
セリフ:人工呼吸器ってなんかこわいです
人工呼吸器はTHE医療!って感じで抵抗をもっちゃいますよね。
この本は、
- ステップ1 なんとか、みんなの役に立てるレベル
- ステップ2 機器を扱えるようになろう
- ステップ3 人工呼吸器を使いこなそう
- ステップ4 もっと知りたい!
という形で、病棟で求められう人工呼吸器を見れる人レベルに沿ってステップアップできます。
なぜこんなに新人看護師に向けた本になっているのかというと、道又元裕さん監修、露木菜緒さん編集のスーパータッグだから!
先に紹介した『icu3年目ナースノート』同様、読みやすさがハンパないです。
こんな人にオススメ
- 人工呼吸器に抵抗がある
- 勉強したいけど、難しい内容はむり
- とにかくわかりやすく、勉強しやすい本がほしい
こんな方はこの本を買って、とりあえず呼吸器が見れるようになりましょう!
人工呼吸ケアのすべてがわかる本

人工呼吸器デビューが、初級者向けの本なら、人工呼吸ケアのすべてがわかる本は中級〜上級者向けです。
人工呼吸器の管理だけでなく、人工呼吸中の管理や、ウィーニング、リハビリテーションまで、患者管理・看護に関わることが全て載っています。
他の本ではイラストの解説が多いですが、こちらは写真付きのフルカラー。
しっかり写真で載っているので、イラストより理解しやすい作りになっています。
特に、テープの貼り方や、呼吸器管理に使われる道具、呼吸器の表示画面などは、写真の方がわかりやすいですね。
看護のポイントもたくさん載っていて、見落としがちなテープの剥がし方なども紹介されています。
内容もQ&A方式になっていて、現場での疑問に答えてもらえる読みやすさ。
Qは、多くの看護師が抱く疑問なので、読んでいるだけで勉強になります。
勉強頑張るから、一冊だけわかりやすく、深いところまで載っている本がほしい!方にオススメです。
こんな人にオススメ
- 人工呼吸器を自信持って受け持てるようになりたい
- 人工呼吸器に悩んだら調べられる本が欲しい
- 根拠をもって管理したい
- しっかりした本一冊だけ使い通したい
ICU看護師にオススメのわかりやすい本:心電図編

ICUに入室中の患者さんはもれなく心電図をつけています。
循環器系の患者さんも多く、心電図の知識は必須です。
心電図のオススメは
心電図編
オールカラーまるごと図解 心電図のみかた
これならわかる心電図の読み方モニターから12誘導まで
持ち歩きたい人 パッと引けてしっかり使えるモニター心電図の読み方
心電図のオススメの本は2冊。
番外編は、深く調べなくてもいいから、実践で使いまわしたい人向けの本を選びました。
オールカラーまるごと図解 心電図のみかたICUナースブック | 心電図と心臓の動きをイラストでわかりやすく解説 |
これならわかる心電図の読み方モニターから12誘導まで | 心電図をアセスメントする知識を得られる本 |
パッと引けてしっかり使える | 常に持ち歩き、現場ですぐに調べたい人向けの本 |
解説していきます。
オールカラーまるごと図解 心電図のみかた

心臓は、電気が走り、その刺激をうけて動きます。
電気の走り方(心電図)を学ぶことは、心臓の動きをイメージしながら、病態を理解できます。
心電図学習のポイントは、波形と心臓の動きを合わせて学ぶことです。
『オールカラーまるごと図解 心電図のみかた』は、心電図波形と心臓の動きがイラストで解説されています。

漫画を読む感覚でわかりやすいです
心電図の説明だけでなく、不整脈発見時の対応も解説されています。
波形の違いを解剖学的に理解できるので、「だからあぶないんだ」「様子をみていいんだ」と納得できます。
房室ブロック:刺激伝導系が塞がっている状態を、車と道路のイラストで説明。
イラスト、図解が豊富で、シンプルなので、初めて心電図に触れる人向けの一冊です。
こんな人にオススメ
- 初めて心電図を学ぶ人
- とにかくわかりやすい本で学びたい人
- 心電図を理解したいけど、マニアックな内容まで求めてない人
これならわかる心電図の読み方モニターから12誘導まで

こちらは、心電図を基礎から応用まで解説している本です。
波形も本物の心電図用紙と同じ画像を使用しているので、実践と結びつけやすいのが特徴です。

イラストの波形ってイメージはつくけど、心電図用紙になると結びつきにくいんですよね
オールカラーで心電図用紙の画像+イラスト付き、さらにはしっかり解説も入っているので、心電図を理解したい人にピッタリ。
不整脈の種類の解説だけでなく、心電図の基本から基本波形まで詳しく解説されています。
- 基本波形の解説内容
- P派からわかること
- QRS派からわかること
- ST部分からわかること
- T派からわかること
- U派からわかること
- QT間隔からわかること
波形を理解できるので、不整脈を理解するより、心臓への影響をアセスメントする力が身に付きます。
もちろん、不整脈ごとの解説もあるので、応用までしっかり学べます。
不整脈はわかったけど、結局何を注意していけばいいかわからない人は「ドクターからのコメント」が役に立ちます。
ドクターからのコメントでは、
- 押さえるべきポイント
- 類似波形の紹介
- 不整脈の症状
- 対応
など
紹介されています。

注意点がサクッとわかりますよ。
心電図を一冊の本ですべて学びたい人にオススメです。
これ以上深く知りたい人は、心電図検定を受験のマニアです。
こんな人にオススメ
- 心電図を基礎からしっかり学びたい人
- 不整脈を理解したい人
- 心電図を一冊で学びたい人
- 参考書を読むことに抵抗がない人
パッと引けてしっかり使えるモニター心電図の読み方
こちらは番外編の一冊です。
心電図を学ぶのではなく、病棟で心電図波形を見たときに調べるための一冊になります。
「パッと引けて」の名の通り、調べるために、早引き索引が冒頭ページにあり、不整脈波形をパッと調べられます。
パッと調べるためには、携帯性も重要です。
いつでも持ち運べるように、ポケットにはいるA6判になっています。
簡単な心電図のキホンや、心電図の読み方と対処はありますが、携帯性を重視しているため簡素に載っているにすぎません。
あくまで、病棟でパッと使うためのお助け本です。
それでも、手元に資料がなく心電図の評価ができなくてはいい本も意味がないので、購入する価値は十分です。
不整脈に自信がない、心電図を見ていると泣けてくる人にオススメの安定剤的な本です。
番外編

番外編は、ICU看護師としてさらにレベルアップしていきたいと考える人向けの本です。
紹介した本をすべて読んで、さらに勉強したい人向けの本と雑誌を紹介します。
番外編
雑誌:IUNR
ICUグリーンノート
ICNR

ICNR(Intensive Care Nursing Review)は,ICU看護師を対象とした雑誌です。
ICNR(Intensive Care Nursing Review)は,クリティカルケア看護の実践のためのエビデンスに基づいたグローバルスタンダード知見を,正しく,わかりやすく読者に伝えることにより,Intensive Care Nurseが患者の早期回復に寄与することを目的としている
学研メディカル秀潤社
解説の通り、エビデンスを基にした看護をわかりやすく解説されているのが特徴です。
ICU向けの本は多数存在しますが、発行年はバラバラです。
医療は日々研究され、毎年新しいエビデンスが発表され、治療は進化していきます。
ICNRは、毎月3ヶ月置きに発行され、その度に最新の情報を提供してくれます。
基礎知識が身に付いたら、最新のクリティカル看護を実践するための知識づけをしていきましょう!
3ヶ月に一回の自己投資で最新の看護が学べるなら、かなり安い買い物です。
こんな人にオススメ
- ICUの基礎知識が身についた人
- 最新のクリティカル看護を学びたい人
- 最新のエビデンスを基に看護をしたい人
- 自己投資を惜しまない人
ICUグリーンノート

こちらはわかりやすい本ではありません。
医師向けの本です。
ご紹介した理由は、ICUの看護を突き詰めていくと、医師レベルの知識やエビデンスレベルを求める必要が出てくるからです。

まさにプチドクターですね
このICUグリーンノートは、集中治療の常識や基本を可能な限りのエビデンスや最新情報を元にまとめてある一冊になります。
上級者以外は購入する必要ありません。
しかし、エビデンスレベルをしっかり確認して、根拠をもった看護をしたい情熱たっぷりの看護師さんはぜひ購入してください!
医師と対等にカンファレンスができること間違いなしです。
まとめ

ICUの学習でオススメの本をランキング形式でまとめてきましたが、お気に入りはあったでしょうか?
とりあえず買っておけば間違い無い本
- ICU全体編:ICUナースポケットブック
- 呼吸器系:すごく役立つ 急性期の呼吸管理
- 心電図:オールカラーまるごと図解 心電図のみかた
長く使いたい人向けの本
- ICU全体編:ICU実践ハンドブック
- 呼吸器系:人工呼吸ケアのすべてがわかる本
- 心電図:これならわかる心電図の読み方モニターから12誘導まで
ご自身のイメージに合わせて、以上の組み合わせを購入してください。
冒頭でも紹介しましたが、とりあえずICUナースポケットブックを購入することをオススメします。
これさえあれば、ICUで登場する機器や疾患、基礎知識が抑えられます。
現場でも持ち運べて、確認できるので、安心感があります。
どれがいいだろう?と悩む人はICUナースポケットブック一択です。