新人の悩み解決

末梢静脈ラインを確保する5つのコツ|苦手が得意になるポイントを解説

ヤマヒロ
点滴の針を刺すのって怖いです
しかも、全然うまくいかなくて
なんで先輩はそんなに簡単に入るんですか?
私も新人の時は全然入らなかったけど、コツを掴んでからバッチリ入るようになったよ
看護師

静脈ライン確保をなんとなく刺してませんか?

実は、血管の選び方、サーフローの選び方、ちょっとした刺すコツで格段に上手になれます。

静脈ライン確保が上手になるポイントをお伝えしたいと思います。

この記事を書いた人はこんな人

看護師歴10年以上

ICU歴8年以上

新人・既卒教育担当

『末梢静脈ライン』『ライン確保』『ラインキープ』『ライン取る』『末梢静脈路確保』などさまざまな呼ばれ方をします

こんな方におすすめ

  • 新人看護師
  • 静脈ライン確保に自信がない
  • 静脈ライン確保が上手になりたい
  • 患者さんに痛くない刺し方を知りたい

末梢静脈ライン確保のコツ

抹消静脈ライン確保を上手にするポイントは5つです。

ココがポイント

  • サーフローの選び方
  • 血管の選び方
  • 挿入角度
  • 手技の流れ
  • 心構え

が重要です。

看護師
この5つを押さえれば間違いなくあなたの技術は向上します

サーフロー(留置針)の選び方

抹消静脈ラインを確保する留置針(サーフロー)

末梢静脈ラインで使用するサーフローはどの太さを選んでますか?

末梢静脈ライン確保の成功率は、サーフローの選び方から変わってきます。

サーフローの太さの違い

一般的に、24G、22G、20Gを使用することが多いと思います。

その中でも、施設によって使用されやすい太さは異なります。

24G療養型など長期患者の多く、運動量の少ない患者
22G急性期や回復期の普段は日常生活を送っていた患者
20G手術など治療が必要

成功率の高いサーフローの太さは

ヤマヒロ
おすすめは22Gのサーフロー留置針です
サーフローの20G22G24Gそれぞれのメリット、デメリット、イメージをまとめた表

斧では、血管をぶった切りますね。

フェンシングは、針のコシ(硬さ)がなく血管が硬いと曲がって逃げてしまいます。

刀は、適度にコシがあり、血管をぶった切るほどの力はありません。

まさに切れ味よく、血管に刺さってくれます。

投与する製剤によって、太さの決まりはあります

*輸血などは一般的に『20G以上』と言われているので、投与する製剤に適切な太さを選択するようにしてください

サーフローは22Gを使おう!

血管の選びかた

血管の見つけ方、選び方を見ていきましょう。

血管が出ている前腕
ヤマヒロ
この血管を目にした時、あなたはどこを狙う?

失敗する人でよく見かけるのは

  • 表面にみえる血管
  • まっすぐの血管

を選ぶ人です

ヤマヒロ
え?
だって、ちゃんと見えるし、まっすぐのほうが入りやすいじゃないですか
はい、その選び方でいいんですよ

でも、失敗しないで上手に入れたいならもっといい血管があります

ヤマヒロ

血管の選び方を見ていきましょう。

駆血帯を強く結びすぎると、動脈が閉まり、血管が浮き出にくくなります。あくまで表在静脈を閉める程度にとどめましょう。

表面に見える血管はダメ?

表面に見える血管は、駆血しなくても見えていることが多いと思います。

若い患者は、血管が太いため駆血しなくても見えます。

しかし、高齢者の駆血をしなくても見える血管は注意が必要です。

なぜなら、高齢者の血管は、筋肉や皮下脂肪が減っているため、細くもろい血管でも見えてしまうからです。

血管があるからと思って狙うと、見た目以上に血管の太さや弾力がなく、すぐに漏れてしまいます。

表面に見えていても刺しやすい血管は、駆血した後に太くなり、触れてわかる弾力が出てきます。

見えるからと安心せず、しっかり触れて弾力のある血管を選びましょう。

上の写真の血管は、浮き出るくらい弾力と太さがあるのがわかりますね

まっすぐの血管はダメ?

看護師
まっすぐの血管を選ぶのは正解です。

サーフローの外筒がしっかり血管内に収まるので、選ぶべき血管です。

でも、こんな経験ありませんか?

ヤマヒロ
うわー、この血管硬いわ
血管逃げて刺さらないね

高齢になると血管が硬くなって、刺さりにくくなるんです。

まっすぐの血管はダメではありません。

まっすぐの血管だけを直接狙わないほうがいいということです。

狙うべき血管

ココがポイント

狙うべきは2本の血管が一本に重なるY字になっている血管です
前腕に図を挿入し、血管を確保するためのポイントを解説している画像

Y字のお尻から刺すと血管は逃げることができず、しっかり刺すことができます。

しかも、刺した先はまっすぐの血管なので、外筒がしっかり収まってくれます。

刺し始めるポイント

針を刺す時は、血管の真上から刺すのはやめましょう。

皮膚から血管まで距離があるので、血管に当たるのは刺した場所より先になります。

ココがポイント

赤い矢印の位置あたりから刺して、Y字になっている血管の股の間から刺すのがオススメです。

血管は逃げたくても、左右にY字の足があるので逃げることができません。

  • 駆血帯をして弾力がでる血管を選ぶ
  • Y時になっている血管の股の間から狙う

角度が重要

一般的に推奨されている基礎看護技術の挿入角度は10〜30度です。

しかし、私のオススメは45度くらい急な角度です。

10~30度で挿入のメリット・デメリット

メリットデメリット
基礎看護技術のお手本血管が硬いと逃げてしまう
一般的で慣れている浅い角度なので、皮膚を傷つける面積が広い
血管を貫通させるリスクが少ない患者さんは痛い

45度で挿入のメリット・デメリット

メリットデメリット
角度がついてる分、血管は逃げないやっている人が少ない
皮膚を傷つける範囲が狭い血管を貫通しやすい
患者さんの痛みは少ない 

45度で刺すことにより、

ココがポイント

血管が逃げない

患者さんの痛みが少ない

二つの大きなメリットが生まれます。

血管を逃さない

私は「血管が逃げる」経験をしたことがありません。

まずは質問です

『駆血帯(チューブ)に針を刺す』としたら、どのように刺しますか?

どうでしょう?

駆血帯に限らず、単純に針を刺す時って垂直に刺しませんか?

理由は明らかですよね。

針はまっすぐ刺した方が、刺さりやすいし穴を開けやすいからです。

その駆血帯が血管だとして、普段あなたが刺している角度で簡単に刺さりますか?

針が滑ってしまい、難しいのではないでしょうか。

ヤマヒロ

まっすぐ點せば滑りにくくて、やりやすいよ

痛くない刺し方

患者

え?もう刺したの?いつももっと痛いからまだ終わってないのかと思った

私はよく患者さんにこのような言葉をいただきます。

もちろん、痛くないわけではありません。

しかし、痛みを少なくすることはできるんです。

先ほどの駆血帯に戻りましょう。

ヤマヒロ
10度で刺す場合と、45度で刺す場合、どちらが早く中まで針が入りますか?

皮膚から血管までの距離を考えてください。

45度の方が早く血管にたどり着きますよね。

血管に入るまでの距離が長ければ長いほど、皮膚を多く傷つけるので痛みは増えます

早く入るということは、それだけ傷つける範囲が少ないということです。

自信がないかもしれませんが、痛みがない手技は患者さんにとって正義です。

練習を重ねましょう!

  • 針は45度の角度で狙う
  • 血管は逃げず、痛みも少ない

手技の流れのポイント

針が血管に入り、血液の戻り(バックフロー)が確認できた後のポイントです。

バックフロー確認後のポイント

ここに本文

  1. サーフローを水平に寝かせる
  2. 水平に寝かせた針を1mm進める
  3. 外筒を押し出す
  4. 抵抗がある場合は無理に押さず、外筒を戻してさらに1mm進める
  5. 抵抗なく外筒が入ったら内筒を抜く

サーフローの構造は、内筒と外筒にわかれ、針先から外筒に届くまでに1〜2mm程度の距離があります。

内筒にバックフローが確認できても、外筒が血管の外にある可能性があるんです。

ここで重要になるのは、しっかり外筒まで血管内に入れるために、針を皮膚に水平に寝かせて1mm進めることです。

針を水平にしないで外筒を血管内に入れようとすると、内筒が血管外に突き出てしまう危険があります。

バックフローを開始したら、針を水平に寝かせて1mm進める

心構え『入るように刺す』

自信を持っている白衣の男性の画像

末梢ライン確保が神がかって上手な麻酔科医がいました。

わたしの技術の8割はその医師からの指導によるものです。

その医師の最大のアドバイスは

『入るように刺す、そうすれば外さない』

という精神論でした。

ヤマヒロ
いやいや、ここまできて精神論はやめてください

これが私の当初の反応です。

しかし、今は

看護師

一番大事なのはやはり自信です。
入るかなと不安になっていてはできることもできなくなります。
自分はできると言い聞かせるのも立派な技術です

って心から考えています。

自信をもって手技をこなすのは、抹消静脈ライン確保だけではありません。

すべての技術に言えることです。

そして、末梢静脈ライン確保は、成功し始めると面白いように成功率があがります。

1日に2回連続で成功したら、その後のライン確保は外す気がしないと思える日がきます。

それはあなたが、『入るように刺す』ことができているからです。

入るように刺す。そうすれば外さない。

やってはいけないこと

ダメを表すジェスチャーをする看護師の画像

看護師がよくやっているけど、実はやってはいけないことがあります。

ココがダメ

  • 皮膚を刺激する、たたく
  • 駆血帯をきつく縛る

え?って感じたあなた、この二つをやめるだけでもっと成功率はあがります。

皮膚を刺激する、叩く

血管を出すのに腕をビシビシ叩く人がいます。

たたくことで、血管を浮き上がらせようとしているのでしょうが、それはやめましょう。

皮膚を叩くと、外部刺激に対して血管がけいれん(攣縮)を起こして、逆に血管が細くなってしまいます。

血管が細くなれば、それだけ失敗の確率は上がりますよね。

もし、血液を集めて血管を太くしたいのであれば、腕を心臓から低い位置にすることをオススメします。

駆血帯をきつく縛る

駆血帯をしっかりしっかり縛らないと、血液は集まりません。

しかし、強く縛り過ぎるともっと集まらなくなります。

適度な駆血は、静脈のみ遮断して動脈からの血液が流れ込み、静脈に血液が溜まって浮き出てきます。

強い駆血は動脈も締め付けてしまうので、血液が流れ込まず、静脈に血液が溜まらなくなります。

駆血する時は力加減を間違えないようにしましょう。

自分の使いやすい駆血帯を用意しておくと、失敗が減ります。

参考【厳選】ベテラン看護師が選ぶ|本当に使いやすいハサミ3選

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まとめ

それでは、抹消静脈ライン確保についてまとめていきます。

末梢静脈LINE確保はココがポイント

  • サーフローは22Gを使おう
  • 血管はY字の血管を選ぼう
  • 駆血して弾力がでる血管を選ぼう
  • 挿入角度は45度がベスト!血管逃げない、痛くない!
  • バックフローを確認したら針を平行に寝かせて1mm進めよう
  • 入るように刺す、そうすれば外さない
  • 経験を積むためにバイトしてみる

患者さんに針を刺す業務はとても緊張します。

患者さんは、入院して不安な日々を過ごしていて、私たち以上に緊張しています。

自信を持って、堂々とした態度と表情で実施すれば、患者さんは安心して受け入れてくれます。

そして自信を持って行うあなたの手技は、成功率が格段にあがっているはずです。

たった一つの手技ですが、自信が持てないと、新人看護師にとっては辞めたくなるきっかけにも。

慌てず、確実に力にしていきましょう!

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ヤマヒロ

【院内新人教育責任者】
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